車掌の仕事を続けていると、少しずつ業務に慣れてきます。
慣れること自体は成長の証でもありますが、同時に怖さも感じるようになりました。
それは「慣れ」が油断につながる可能性があるからです。
実際に現場で起きる事故の多くは、経験が浅い人だけではなく、仕事に慣れてきた頃にも起こります。だからこそ私は、「慣れ」とどう向き合うかが車掌として長く安全に働くために大切だと感じています。
今回は、現場で感じている“慣れの怖さ”について書いてみたいと思います。
慣れることは悪いことではない
・スムーズに動ける
・余裕が生まれる
この2つがあるのかなと思います。
安定運行の為に、時間管理も出来るようになってきますし放送もスムーズに出来るようになります。
ドアの開け閉めに関しては慣れもあるのですが、お客様はいつも同じではないので、簡単に閉めれるっていうわけではありません。
ただ乗務するにあたり、心の余裕はすごく慣れによって出来るようになってきます。
準備の仕方が全然違うかなと思います。
先日の乗務でもダイヤが乱れて、行先変更とか途中駅調整など指令からの指示がたくさんあって、きっとこの先自分の列車も連絡が来るんだろうなと思っていたら、やっぱり連絡が来たというのがありました。
準備をしていたから、落ち着いてメモして運転士と情報共有出来たのが慣れだったのかなと思います。
また、なんで時間調整しているのかも、後続列車が遅れているのか状況把握も出来ていることによってお客様にもすぐにお伝えすることが出来ました。
慣れたことで視野が広がり、自分の担当する路線や駅の特徴も自然と分かるようになります。
その経験が異常時に冷静な判断ができる理由にもなっていると感じています。
しかし「慣れ」は油断にもなる
・確認が雑になる可能性
・思い込みが生まれる危険
・小さな違和感を見逃す
こういったものがあるのかなと思います。
見習いが終わって3ヶ月くらいが1番慣れを感じると思うのですが、ここでミスすることが逆にたくさん出てきます。
「確認が雑・思い込み・違和感を見逃す」これが全て重なって起こるむしろ起こった事故は
合図を見逃す→お客様を挟んだまま発車させる可能性あり
逆側ドア開扉→眠気と重なり到着前に慌ててドアを開扉してしまう
信号無視→常に開いているものだと思い込み発車ブザーやメロディーを鳴らしてしまう
回送開扉→回送電車にも関わらず間違えてドアを開けてしまう。乗車したお客様を全員下ろさないといけないので、ものすごく発車まで時間がかかる。そのまま入庫する電車ではなく、回送で持って行って折り返しお客様を乗せる電車なら、最初から大幅な遅延になる可能性あり
慣れてきた時に、こういったことをやってしまった方は見てきて、すごく落ち込んでいましたので、本当に気をつけて欲しいと思います。
え???と思うかもしれませんが全然あるミスなので自分が該当者にならないように参考にして頂ければと思います。
どのミスも「わざと」ではありません。「いつも通りだと思った」「大丈夫だと思った」という、ほんの少しの気の緩みから起きています。
だから私は、この部分が一番怖いと感じています。
なぜ慣れが怖いのか
車掌の仕事は、一日に何十回も同じ動作を繰り返します。
そのため、無意識に作業をしてしまう瞬間が生まれやすい仕事でもあります。
だからこそ、毎回「今日も初めてこの駅を扱う」という気持ちで確認することを心掛けています。
慣れが怖い大きな要因は、
・安全に直結する仕事だから
・一瞬の判断が影響するから
これだからだと思います。
慣れによる良いこと、自分のペースで淡々とこなせるようになるのは気持ちも楽ですしいっぱい良いことがあるのですが、ちょっとしたこと自分が考えごとをしていたであったりして安全が安全でなくってしまうことがあります。
また判断が必要な場面で誤ったことをしてしまうとミスであったり遅延にも影響してきます。
安全だからお客様が信頼して利用してもらっているので、責任を持って乗務することが大切です。
1つ大事なことをお伝えします。
後、何駅かドア閉めれば帰れるってところは雑念が特に起きやすいです。
最後の最後まで気を抜かないようにしていれば大丈夫ですので、気をつけて頂ければと思います。
「もう終わりだから」という気持ちが出ると、自然と次の予定や帰宅後のことを考えてしまうことがあります。
しかし、事故は最後の一駅でも起こります。
最後まで集中することが、自分自身を守ることにもつながると感じています。
今、自分が意識していること
・基本を繰り返す
・毎回同じ緊張感を持つ
・「大丈夫」と決めつけない
ということを意識しています。
また、毎回同じ順番で作業することも意識しています。順番を変えないことで、「何か一つ抜けていないか」を確認しやすくなり、思い込みによるミスも防ぎやすくなると感じています。
乗る線路はいつも同じです。自分のやってきた経験がどんどん活きますし乗客数やこの駅は平日・休日で乗り降りの状況が違うなどの変化もわかるようになってきます。
ただ、基本作業は変わりません。毎回同じ緊張感を持って乗務していればミスもしません。
無事故で帰って来れば、これほど良い仕事はないので何事もなく乗務から帰ってきて欲しいです。
慣れを「経験」に変えるために
・慣れること自体は悪くない
・慣れ+基本動作=経験
・慣れ−基本動作=事故
慣れてくると広い視野を持って仕事をすることが出来ます。
この先に何が起こる可能性があるだろう
自分の列車にはどんなことが起こり得るだろう
ホームの状況はどうなって乗客数はこれから先どうなるだろう
色々な想定が出来て頭の中で、イメージすることが出来るようになってきます。
慣れによる雑念ではなく、車掌のプロとしてこの先の安全の為にどうしたら良いか考えられるようになるのが「良い慣れ」だと思っています。
繰り返しの仕事をやり続けることで、自分のペースで良い仕事が出来るようになります。
まとめ
慣れることは成長の証ですが、安全に関わる仕事では油断につながる可能性もあります。
だからこそ、基本を繰り返し、毎回同じ気持ちで向き合うことが大切だと感じています。
これからも“慣れ”に流されず、初心を忘れない姿勢を持ち続けていきたいと思います。
そして、慣れは決して悪いものではないと思っています。
しかし、安全を守る仕事では「慣れたからこそ初心を忘れないこと」が何より大切です。
これからも経験を積み重ねながら、基本動作を大切にし、一回一回の乗務を丁寧に行っていきたいと思います。
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