車掌の仕事では、多くの場面で言葉を使います。
アナウンスや乗客対応など、何気ない一言がその場の空気を左右することもあります。
見習い時代は内容を正確に伝えることに必死でしたが、経験を重ねる中で“言葉の選び方”の大切さに気づきました。
今回は、私が現場で意識していることについてお話しします。
見習い時代は「正しく伝える」ことだけ考えていた
・マニュアル通り
私は特に車掌見習いの試験に合格する為に見習い時代はマニュアル通り与えられたことを必死に覚えてそれを、放送区間に実施することだけを考えてやっていました。
言葉=車掌の主な業務の放送にあたると思います。
ただ、マニュアル通りやれば怒られることもないし、決められたことをやっているので間違えはなかったですが、今思えばもっと自分らしくやっても良かったのかなとも思っています。
・言い間違えないことに集中
多くのお客様が聞いているので、アレンジを聞かせて間違えるよりは覚えてきた放送文を実施する方がいい間違えるリスクは低いので間違えないように集中してやっていました。
言葉1つで空気が変わると感じた瞬間
・遅延時
お客様は、なんで遅れているんだろうと不安に感じてきます。時には何も放送しないと乗務室を見てきます。
遅延している理由なんなのか?お客様混雑それとも安全確認がどこかであったのか、当該列車で対応したのか、情報をしっかり伝えることで、安心して乗ってくれているんだなと雰囲気を察することができますので放送は実施し、自分なりに伝えて欲しいです。
特にこの遅延に関する場面の放送(言葉選び)の部分に関しては駅員時代に培った経験が絶対生きると思います。
どうやって言えば良いんだろうと心配はしなくて大丈夫だと思います。
・乗客対応
放送以外にも乗客と話す場面はあります。
遺失物であったりトラブルのことであったり、乗り換えや目的地(乗っていればここの駅に着きますか)などあります。
車掌になったからお客様対応はしないという姿勢で接しないようにお願いします。
親切な対応をすれば、無事故で戻ってくれるという気持ちになれるかと思います。
ここも遅延時と同様に駅員時代に改札口で多くお客様対応した経験が活きると思うので、是非経験を存分に活かして欲しいと思います。
ただ、接客中話す時間が長くて駅に到着してしまった到着監視を失念し安全を確保することを忘れないようにして欲しいです。
・トラブル時の声のトーン
強弱はとても大事です。
トラブルが起きたということは、ほとんどの確率で列車が遅れます。そう言った時にお詫び放送を実施しますが、しっかり申し訳ない気持ちを込めて放送することが大切です。
また、トラブル時の放送は簡潔明瞭に何のトラブルなのか、わかりすく情報を伝えることを意識しています。具体的には1つ例を出すと、「ただいま軌道短絡がありました。」と放送した場合、わかる人はわかるかもしれないですが「ただいま信号に異常を確認した為、信号確認をおこなっています。」と放送した方が私は伝わると思っているので、極力専門用語は避けて実施するよう心がけています。
その他、運転再開見込みはどのくらいなのか伝えることによって、安心感を与えることが出来ると思っています。
トラブルがあって、これらの情報をしっかり伝えた時、お客様は職場やご家族などに遅れるなどの情報を伝えていましたので、言葉1つで空気が変わるんだと感じた瞬間でした。
なぜ言葉選び方が大切なのか
安心感かと思います。不安になった時、自分も電車乗るので経験したことがありますが、この電車いつになったら動くんだろう?職場に間に合うのかなと不安に感じたことがあります。
「運転再開見込み」「発車の準備が間も無く整う」「安全の確認が取れたので発車します」「信号があき次第発車します」随時放送してくれると、安心するので自分が乗務している時に異常時等の何かあった時には、言葉を選んで放送するようにしています。
ちゃんとやることで、この車掌はと信頼してもらえるかと思います。
経験を積めば積むほど、言葉がすらすら出てくるようになって自分自身も自信になってくるので、正しい情報を言葉で伝えて頂ければと思います。
今自分が意識していること
・ゆっくり話す
遅いじゃないかってくらいゆっくり話すことを意識してやっています。人間どうしてもこの情報を伝えなきゃっていう時は焦って早口になり、自分はしっかり話しているつもりでもお客様には何言っているのか伝わっていない場合があります。それでは何の意味もないので、アナウンサーを参考にやってますとまではいかないのですが、アナウンサーの喋り方は参考にしています。
・後は丁寧さを忘れない
言葉で丁寧さを表現するって難しいのですが、強弱をつけるところ伝えたいところは意識しています。例えば、
次はどこの駅なのか・もうすぐ駅に到着するのか・出口はどっち側なのか・ポイント通過で列車が揺れるのか・足元注意箇所なのか。
丁寧に情報を伝えれば、きっと安心して乗ってくれていると思ってやっています。
言葉って今でも難しいですが、どの仕事でも相手に対して誠意を込めて接すると思うのでその経験が車掌には絶対活きると思います。
車掌の仕事では、言葉もまた責任の一部だと感じています。
同じ内容でも、伝え方によって受け取られ方は大きく変わります。
これからも、正確さだけでなく、安心感を届けられる言葉を選んでいきたいと思います。